188bet体育_188bet亚洲体育-在线*投注「優秀学位論文賞」
188bet体育_188bet亚洲体育-在线*投注「優秀学位論文賞」は、本学の大学院研究科博士課程教育の高度化を目的として、優れた学位論文(3編)を顕彰するものです。
審査について詳しくは、優秀学位論文賞「審査細則」をご確認ください。
受賞者の公表
本学の大学院博士課程教育の高度化を推進するため、令和3年度より「優秀学位論文賞」が創設されました。これは、各年度で授与された学位(甲)論文の中からベスト3を顕彰する制度で、厳正な審査により令和3年度の学位(甲)論文全48編の中から以下の3氏が選出され、6月15日の医学科教授会?大学院医学研究科委員会にて林 由起子学長より表彰状と記念品が授与されました。
審査委員は大学院運営委員会委員(学長、副学長、研究科専攻主任?副主任の計12名)より構成され、審査基準として、本学の博士課程ディプロマポリシーに則り、①新たな学理を拓く独創性があること、②自立して研究活動を実践できる能力があること、の二点に重点がおかれ選考が行われました。そのため、論文内容に加え、公開学位審査時の主査?副査と発表者間での質疑応答(Zoom録画)も審査対象となっています。なお、審査時の動画は本学eラーニングポータル「e自主自学」(学内専用)から閲覧が可能です。
令和3年度「優秀学位論文賞」受賞者: 鳥山 和俊(呼吸器内科学) | 永堀 健太(人体構造学) | 禰津 直也(眼科学)

鳥山 和俊(呼吸器内科学) *令和3年11月17日修了
Azithromycin enhances the cytotoxicity of DNA-damaging drugs via lysosomal membrane permeabilization in lung cancer cells
(肺癌細胞株においてDNA障害性抗癌剤にアジスロマイシンを併用することで、リソソームの膜障害を介して殺細胞効果は増強される)
■原著論文はこちら>> ■審査時動画はこちら(学内専用)>>
■指導研究室:生化学分野
この度は優秀学位論文賞を頂き心から感謝申し上げます。生化学分野ではマクロライド系抗菌薬がオートファジー阻害作用を持つこと、オートファジー誘導能を有するチロシンキナーゼ阻害薬やプロテアソーム阻害薬と併用投与することで癌細胞に対する殺細胞効果が増強することを報告してきました。それらの研究をもとに、今回私は非小細胞肺癌細胞株にDNA障害性抗癌剤とアジスロマイシンを併用投与することで、殺細胞効果が著しく増強することを発見しました。この研究の核心は、DNA障害性抗癌剤を作用させることでリソソーム膜の障害を誘導するのと同時に、転写因子TFEB/TFE3活性化を介したリソソーム生成を亢進させます。一方、アジスロマイシンによりオートファジーの流れを止めることによってリソソーム
の細胞内クリアランスも阻害され(lysophagy阻害)、これにより障害を受けたリソソームが一気に細胞質内に蓄積し、リソソーム内の加水分解酵素の細胞質への漏出によりアポトーシスを引き起こすというものです。リソソームを標的とした今回の研究は将来的に様々な難治性癌の新規治療法になり得ると考えています。基礎研究の知識が無い私に一から指導して頂いた宮澤啓介主任教授と高野直治准教授をはじめとする生化学分野の先生方、また基礎研究に集中することを快諾し応援してくださった当科の阿部信二主任教授に重ねて御礼申し上げます。今後も患者さんのためとなる臨床と研究に励んで参りますので、引き続きご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

永堀 健太(人体構造学) *令和3年6月16日修了
Heat shock protein A4L is a potent autoantigen for testicular autoimmunity in mice
(熱ショックタンパク質A4Lはマウス精巣自己免疫における強力な自己抗原となる)
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■指導研究室:人体構造学分野
この度は優秀学位論文賞を賜り、大変光栄に思っております。本学位論文では、自己免疫性精巣炎を誘導する自己抗原を特定するために、精巣の生殖細胞からファージディスプレイ法を用いて新たに20種類の精巣自己免疫源性抗原を同定し、20種類中GTPase活性化タンパク質(GIT1)と熱ショックタンパク質A4L(HSPA4L)の2種類において実験的自己免疫精巣炎モデルマウスから血清自己抗体が検出されることが明らかになりました。また、特にHSPA4Lにおいてはマウスに免疫することにより自己免疫性精巣炎が高頻度に誘発できることを明らかにし、HSPA4Lが自己免疫性精巣炎を誘導する重要な標的抗原の一つであることを示しました。今回の結果は男性
不妊症、特発性精子形成障害に対する自己抗体検査、リンパ球刺激試験、白血球遊走阻止および各種サイトカイン分泌などの「検査法の確立」やワクチン開発などの「予防医学的研究」につながる足掛かりとなり、臨床応用への発展にも期待できると考えております。本学位論文を執筆するにあたり、日々時間を割いて丁寧に研究指導をしてくださった伊藤正裕主任教授をはじめとする人体構造学分野の先生方には感謝してもしきれません。まだまだ一人前とは言い難い私ですが、この賞の名に恥じぬよう今後も一層精進してまいります。

禰津 直也(眼科学) *令和4年3月16日修了
Machine learning approach for intraocular disease prediction based on aqueous humor immune mediator profiles
(機械学習による前房水中の免疫液性因子を用いた眼内疾患の診断予測)
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■指導研究室:分子病理学分野
■機械学習指導:人工知能応用医療講座?低侵襲医療開発総合センター
この度、優秀学位論文賞を頂き大変光栄なことと思っております。本研究では一般的な疾患の他、希少疾患を含む17の眼内疾患、512眼を対象に、前房水を用いて28種類の免疫液性因子を測定し、免疫液性因子のみのデータから機械学習で疾患の予測(診断)が可能か検討しました。その結果17疾患のうち診断精度の高かった上位3疾患は眼内リンパ腫、急性網膜壊死、感染性眼内炎で、第1予測による診断精度は70%以上でした。第3予測まで考慮に入れると、90%以上の確率で診断は的中しました。さらに17疾患全体の第1予測での的中率は46%でしたが、第3予測までの的中率では72%となりました。本研究により前房水を採取して免疫液性因子を測定し機械学習で解析を行うことで、極めて精度の高い診断補助
となり得ることを、この領域では世界で初めて明らかにしました。
機械学習を扱うのは今回が初めてで何度もくじけそうに感じたこともありましたが、それでも何とかやり遂げることができたのも、学内留学させて頂いた分子病理学分野の黒田雅彦主任教授、直接機械学習に関してご指導して頂いた人工知能応用医療講座の齋藤彰特任教授と低侵襲医療開発総合センターの杉本昌弘教授、そして研究に打ち込めるように環境を整え、多大なる時間や資源を割いてサポートして頂いた当科の後藤浩主任教授、臼井嘉彦准教授をはじめとする数多くの眼科医局員のおかげかと思います。この場を借りて深く感謝申し上げます。